700万円で売れた土地の実質手取り額に、私は言葉を失った

暮らしとお金

土地が売れた。
夫の親から受け継いだ、三十坪ほどの土地。
売却額は700万円を超えた。
「思ったより高く売れたね」
最初はそう思った。
でも、実際に手元に残った金額を計算したとき、私は言葉を失った。

損失を全部並べてみる


感情の話は後にする。まずは数字だけ見てほしい。

解体費用 約200万円

義父母が亡くなって一年後、建物を解体した。
理由は「古家を放置すると治安上よくないから」
この時はまだ、夫に売るつもりはまったくなかった。
夫は「親の土地は売れない」と言い続けていた。
親が買った土地であって、先祖代々の土地ではない。
それでも、思い出の詰まった土地を手放す決心はつかなかったのだろう。
そして、更地にすれば固定資産税が上がることも知らないまま、
約200万円をかけて建物を解体した。
今思えば、あの時点でもっと調べていれば、違う選択肢があったのかもしれない。

固定資産税 約85万円(年間約6万5,000円×13年)

更地にした翌年、固定資産税の請求書を見て冷や汗が出た。
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、固定資産税が大幅に軽減される。
ところが、更地にするとこの特例が外れ、税額が一気に上がる。
制度としては昔からある、ごく当たり前のルールだった。

そこから13年間x年間約6万5,000円=約85万円

今住んでいるマンションにも固定資産税を払っているのに、誰も住まず、
ほとんど見にも行かない土地にも税金を払い続けた。
夫は時々、草むしりのためだけに車で現地へ向かった。
ガソリン代も時間もかけて、一体何を守っていたのだろう。

譲渡所得税・仲介手数料 約130万円

夫が65歳になり、嘱託勤務が終わってアルバイト生活になる頃、
ようやく土地を売る話が動き始めた。
きっかけは義弟のひと言だった。

「親が買った土地なんだから、売ってもいいんじゃない?」

その言葉で、長年動かなかった夫がようやく決断した。
ところが、ここでも知識不足が大きな負担につながった。
土地を購入したのは60年以上前。
売買契約書など、取得費を証明できる書類は何ひとつ残っていなかった。
不動産を売却したときの譲渡所得税は、売却価格から取得費を差し引いた利益に課税される。
しかし取得費が分からない場合は、国のルールで「売却価格の5%」しか取得費として認められない。700万円で売れても、取得費はわずか35万円。
その結果、多くが課税対象となり、
譲渡所得税と仲介手数料を合わせて約130万円が消えていった。

本来なら使えた3,000万円特別控除


あとで知ったのが、「相続空き家の3,000万円特別控除」という制度だった。
一定の条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度だ。
もし相続後すぐに制度を調べ、期限内に売却していれば、
譲渡所得税はほとんど発生しなかった可能性が高い。
制度は用意されていた。
知らなかったのは私たちだった。
正確に言えば、自分から調べようとしなかった。
「そのうち考えよう」「まだ売る予定はないし」
そんなふうに先送りしていた時間が、あとになって大きな代償になって返ってきた。

損失の合計は約415万円

こうして計算すると、

• 解体費 約200万円
• 固定資産税 約85万円
• 譲渡所得税
・仲介手数料 約130万円

合計約415万円。

700万円で売れた土地の実質的な手取りは、約285万円だった。

翌年やってきた住民税と国民健康保険料という伏兵


土地を売ったのは、夫が65歳のとき。
嘱託勤務最後の年で、最後のまとまった給与所得と土地の売却による所得が同じ年に重なった。
翌年、アルバイト生活を始めた夫のもとに届いたのは、住民税と国民健康保険料の納付書だった。
その金額を見た瞬間、私たちは言葉を失った。
住民税と国民健康保険料を合わせると、毎月の支払いは10万円を超えていた
せっかく始めたアルバイト代では、とても追いつかない。
「こんなの、何かの間違いじゃないの?」
あまりの金額に信じられず、私は思わず役場へ電話をかけた。
「計算を間違えていませんか?」

すると担当の方は落ち着いた口調で、
「前年の所得をもとに計算していますので、間違いありません。」
と説明してくれた。
電話を切ったあと、しばらく何も言えなかった。
あぁ、本当に払わないといけないんだ。
現実を突きつけられた瞬間だった。
もちろん、土地を売ったこと自体を後悔しているわけではない。
後悔しているのは、税金や社会保険料の仕組みを知らないまま売却したことだ。
もし制度を理解したうえで売却のタイミングや方法を考えていたら、もう少し違う結果になっていたかもしれない。

長くなってしまったので続きは明日。
415万円という高過ぎる授業料から私が学んだこと、そして今だから伝えたいことを
書きます。
ぜひまたご訪問位いただけたら嬉しいです。

※本記事は土地売却に関する私個人の体験と試算に基づくものであり、税務上の取り扱いや手取り額は個々の状況(取得費・保有期間・特例の適用有無など)によって大きく異なります。実際の申告や判断にあたっては、税理士等の専門家にご確認ください。

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