「家計の金融資産2386兆円」のニュースに思う。他人の数字より、自分の「老後シミュレーション」が救いになる理由

投資体験記

「2386兆円」という、他人事の数字

昨日の朝刊に、「家計の金融資産が2386兆円に達した」という記事があった。
株価上昇が寄与したらしいけれど、この「2386兆円」という巨大な数字を目にして、
どれだけの人が「自分のことだ」と思えるのだろうか。
日本全体で見れば資産は増えている。
けれど、個々の家庭の事情は全く違う。

私たちは、平均年収や平均貯蓄額という言葉をよく目にする。
でも、家族構成も住んでいる地域も、住宅ローンの有無も、人それぞれ違う。
だから、他人の平均と比べて、不安になりすぎる必要はない。
比べるべき相手は、昨日までの自分の家計なのだと思う。

「世間は平均してこれだけ持っていますよ」という数字は、
時に私たちを不安にさせるだけで、何の慰めにもならない。

ちなみに、この2386兆円の内訳を見ると、
現金・預金が半分以上を占めている。
株式や投資信託は、全体の約2割に過ぎない。
つまり「資産が増えた」といっても、
その恩恵を受けているのは、投資をしている人だけだ。
預金だけで老後を迎えようとしている人には、
この数字はほとんど関係がない。
平均値に安心するのは危険で、自分の内訳を見ることの方がずっと大事だ。

救いになるのは、日銀ではなく「現在地」

結局のところ、老後資金の不安を消せるのは、日銀の統計ではなく、
自分の家計の「現在地」を把握することだけだ。

正直に言うと、つい最近まで私も「なんとかなるだろう」と思っていた。
夫も働いていたし、貯金もある。
でも「なんとなく大丈夫」と「数字で確認した大丈夫」は、
全く別物だということを、計算して初めて知った。
漠然とした不安は、実は「知らないこと」からくる恐怖だったのだと思う。

先日、定年を目前にして、本気で老後の資金を計算してみた。
配当金、年金、そして投資の取り崩し。

やったことはシンプルだ。
まず年金見込み額をねんきんネットで確認した。
次に、保有株の配当金を合計した。
最後に、60歳以降に毎月いくら使うかを書き出した。
収入と支出、両方の数字が揃ったとき、
「足りるか足りないか」がはじめて見えてくる。
計算そのものは、1時間もあればできる。
やらない理由は、怖いからだ。
でも怖いまま放置する方が、ずっと怖い。

夫の年金が月に約22万円、私が60歳以降にもらえる年金が月に約6万円。
合わせて月28万円。
そこに株の配当金が年間約90万円、月換算で7万5千円ほど加わる。
合計すると、月35万円前後が「何もしなくても入ってくるお金」になる計算だ。
もちろん、これはあくまで現時点の試算に過ぎない。
税金も引かれるし、医療費が増えれば話は変わる。
それでも、数字を並べる前と後では、頭の中の霧が少し晴れた気がした。


一つひとつ数字を並べてみたら、漠然とした恐怖は予想以上に小さくなった。

人生は、シミュレーションの外側にある

もちろん、人生にはさまざまなことが起きる。
病気や事故、物価の上昇。
ある程度は予想できても、備えきれない出来事もある。
そして、ときには想像すらしていなかった「まさか」が訪れることもある。
シミュレーションには収まりきらない不確定要素が、人生にはつきものだ
けれど、今わかる数字を並べてみることは、
これから先の道筋を照らす「安心の材料」にはなる。

「世間」を気にする前に、自分の数字を

「世間の平均」を気にする前に、まずは自分の家計と向き合ってみる。
もし同じように不安を感じているなら、一度こちらの記事を参考に自分の数字を並べてみてほしい。
▼定年前に「老後いくら使えるか」を本気で計算してみた。↓↓↓
定年前に老後資金を計算してみた|我が家は毎月

思ったよりも、悪い老後じゃないかもしれない。

……と言いたいところだけれど。

数字どおりにいかないのが、人生でもある。
シミュレーションでは見えてこない「まさか」は、誰にでも起こりうる。

数字上の計算では収まらないのが、人生というもの。

私がこの計算をしたのは、夜中の12時過ぎだった。
夫はもう寝ていて、家の中は静かだった。
電卓を叩きながら、ふと思った。
35年間、家族のために働いて、気づけばもうすぐ60歳。
自分のお金のことを、こんなにちゃんと考えたのは、
初めてかもしれない。
遅すぎることはない、と思いたい。
でも、もう少し早く向き合っていればよかった、とも思う。


次回は、そんな計算外の「まさか」に直面したときの話をすることにする。

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