生前贈与を先延ばしにする60歳手前の私が考えたこと

暮らしとお金

7.5億円と1億円、桁が違う話


少し前の新聞に、KDDI前身の創業者の子が7.5億円の生前贈与を申告漏れしていた、
という記事が載っていた。銀行からの借入金を装って評価額を下げ、法人株の評価も低く仕立てて…という手口。
追徴課税は加算税込みで1億円超。

お金持ちというのはやはり税金対策をする。そして時々、失敗する。
グレーゾーンが広いから、攻めたくなる気持ちもわからなくはない。
庶民の私には7億円の贈与も1億円の追徴課税も桁が違いすぎて笑うしかないけれど、
規模は違えど「うちも他人事じゃないな」と思わされた記事だった。

近所で、長年広い駐車場だった土地に、マンションが建ち始めている。
この街ではちょっと名の知れた資産家の持ち物で、地主さんはかなりのご高齢。
会社の同僚が「あんなお年でいまさらマンション建てるんだねえ」と呑気なことを言っていたが、
いやいや、だから建てるんでしょう。
借金をしてでも収益物件を持てば、相続財産の評価額は下がる。
定番の相続対策だ。年齢が高いからこそ、今のうちに動く。
資産家は税金には敏感だ。

問題は、私自身の8000万円


さて、他人の相続対策を笑っている場合ではなく、自分の話。

来年、夫は70歳、私は60歳になる。夫の金融資産については、前妻との子どもの件もあって、
二、三年前からすでに手を打ってある。
まとまった額の終身保険に入り、2人の子に渡るようにしてある。
マンションはおしどり贈与で私名義に変えた。
古い物件でほとんど資産価値はなくなっているけれど、名義の整理としては済んでいる。

問題は私自身の資産のほう。
金融資産だけで8000万円を超えてきた。
退職金がわずかながら500万円前後、母にもしものことがあった場合の保険金が500万円ほど。
株式投資は博打を打っているわけではないので、これからも緩やかに増えていくだろうし、
配当も今は月8万円弱だが、これも少しずつ育っていく。

定年後、必死で働くつもりはない。
好きなことにも使うつもりでいる。
でも、長年コツコツ築いてきた資産というのは、そう簡単には減らないものらしい。
節約はもうすっかり体に染みついてしまったし、体力も欲も少しずつ枯れてきている。
使おうと思っても、たぶんそこまで大きくは使えない。
つまり、このまま何もしなければ、私に何かあったときに何百万円単位の相続税がかかってくる可能性がある、ということ。
必死で働き、節約もしながら、共働きということで、税金だってそれなりに払ってきた。
そうして蓄えてきたわずかな資産なのに、亡くなってからまで税金を払うのは避けたい。

教育資金の非課税枠は終わった、住宅資金はまだ使える


生前贈与といえば、祖父母から孫への教育資金贈与、実はこの春で大きな制度変更があった。
教育資金の一括贈与の非課税措置(最大1,500万円)は、2026年3月末で新規の申込受付が終了している。
今からでは、もうこの形では使えない。

一方、住宅取得等資金の贈与の非課税は、2026年末まではまだ生きている。
省エネ住宅なら1,000万円、それ以外でも500万円まで非課税、しかも暦年贈与の110万円をあわせて使える。

そういえば、知り合いにこんな家族がいる。
奥さん側がかなりの資産家で、旦那さんは逆玉の輿。
もうだいぶ前から、少しずつ分けてもらっているんじゃないかと思う。
家のリフォームも車も、かなりお金をかけてやっているし、子どもたちも学生時代からリッチな暮らしをしていた。
今、まだ30歳前だというのに、もう立派な家を建てている。

現金を一括でどんと渡すより、リフォーム代、車、教育費という「生活に紐づく形」で渡す方が、
贈与税の面でも自然だし目立たない。
教育資金の一括贈与の枠がなくなった今、こういう「都度贈与」の考え方は、むしろこれから重要になってくるんだろう。

わかっているのに、腰が重い


私はと言えば、わかってはいる。
生前贈与を進めなければいけないことは、頭では十分わかっている。
それなのに、まだしっかりとは手をつけられていない。
暦年贈与の非課税枠を使うだけでも違うのに、腰が重い。
あまり早く渡しても、無駄遣いしてしまうのではないか・・・とか、
思ったより老後生活にお金がかかってしまったり、大病をしてお金が必要になったり
予想以上に長生きしてしまうんじゃないか・・・とか考え出すと、なかなか踏み切れないでいる。

KDDIの一件のように大それたことをする器でもないし、するつもりもない。
ただ、地道に、小さく、着実に。来年、還暦を迎える前に、せめて計画くらいは形にしておきたい。
とは思っている。

※本記事は個人の資産運用に関する体験・考えを記したものであり、投資や相続対策を推奨するものではありません。実際の対策については税理士等の専門家にご相談ください。

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