ダイソーの110円ノートが教えてくれた。「資産は増やすだけじゃ足りない」という話

暮らしとお金


ダイソーの文具コーナーで、赤い表紙のノートが目に入った。
「もしもノート じぶんノート For my future」110円。
プロフィール、連絡先、契約中のライフライン、もしもの時に家族へ伝えたいこと。
そういうことを書き残せるノートだった。
パラパラめくりながら、ふと思った。
「これ、私に必要かもしれない。」
投資を始めてから、お金を増やすことばかり考えてきた。
でも、もし私が突然いなくなったら。
家族は、私の資産にちゃんとたどり着けるんだろうか。

「夫の株」が半分見つからなかった話


そう思ったのには理由がある。
数年前、夫が会社の持株会で買っていた株を、ネット証券に移そうとしたことがあった。
1,600株あるはずなのに、確認できたのは半分だけ。
なのに銀行口座には、年2回、1,600株分の配当金がちゃんと振り込まれている。
株は確実にある。
ところが、その株がどこにあるのかわからない。
夫に聞いても、
「昔のことだから覚えていない。」
そればかりだった。
何十年も前に始めた持株会のことだ。
当時はネット証券などなく、手続きもすべて夫任せ。
私はノータッチだった。
書類をひっくり返しても手がかりは出てこない。
「いったい、どこへ消えたんだろう。」
証券会社へ問い合わせても、すぐに答えは出なかった。
結局、ほふり(証券保管振替機構、株を管理している機関)を使って照会し、ようやく見つけることができた。
手続きは面倒だった。
費用もかかった。
時間もかかった。

でも——

夫の株は、私が「夫が株を持っている」と知っていたから探せたのだ。
もし誰も知らなかったら、その株はどうなっていたんだろう。

デジタル資産は、見えない


私はネット銀行とネット証券が中心。
通帳もない。証券会社から紙の報告書が届くこともほとんどない。
資産は全部、スマホとパソコンの中にある。
夫も子どもたちも、私が投資をしていることは知っている。
でも、どこの証券会社か、どこの銀行か、資産全体をどう確認すればいいか。
そこまでは、たぶん知らない。
資産があることと、そこにたどり着けることは、別の話なのだ。

110円のノートに書いたこと


だから、そのノートに書くことにした。
利用している銀行。
証券会社の名前。
資産管理に使っているマネーフォワード ME(家計簿・資産管理アプリ)のこと。
重要書類の保管場所。
残高もパスワードも書いていない。
家族が「入口」にたどり着くための情報だけ。
息子には一言、「もし何かあったら、このノート見てね」と伝えてある。

友人の話を聞いて、もう一段考えた


先日、友人からこんな話を聞いた。

義理のお母さんが火事で亡くなり、通帳も書類も焼けてしまった。
何がどこにあるか分からず、自宅に保管していたまとまった現金も失われたという。
相続の手続きと書類探しは想像以上に大変で、心労が重なり、
友人自身も体調を崩して入院してしまったそうだ。
その話を聞いて、改めて思った。
大切な人を亡くした直後というのは、それだけで十分つらい。
悲しむ時間もないまま、役所や銀行、証券会社へ何度も足を運び、書類を集め、
手続きを進めなければならない。
何がどこにあるのか分からなければ、その負担はさらに大きくなる。
せめて私は、家族にそんな思いをさせたくない。
悲しみの中で「どこの銀行だった?」「証券会社はどこ?」と探し回る時間を少しでも減らせたら、
それだけでも、もしもノートを書く意味はあるのだと思う。

増やすことだけが、資産管理じゃない


投資を始めてから、増やすことばかり気にしてきた。
どの銘柄を買うか。配当はいくら増えたか。利回りはどうか。
でも最近は思う。
残された家族が困らないようにしておくことも、立派な資産管理なんじゃないか。
資産は、持っているだけでは意味がない。
必要な時に、家族がちゃんとたどり着けること。
それも、残す側の責任なのかもしれない。
ダイソーの110円のノートは、そんな当たり前だけど大事なことを、私に教えてくれた。


※この話はあくまで私個人の体験です。
資産管理の方法も、家族への備え方も、家庭によって事情はさまざま。
同じ方法が誰にでも合うとは限りません。
実際の資産管理や相続対策については、専門家にご相談することをおすすめします。

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