「家賃がないからいいですよね」その一言に、私は何も言わなかった

暮らしとお金

今朝の新聞に、若者が自立して暮らすためには月28万円必要だという調査結果が載っていた。
愛知県労働組合総連合がまとめたもので、家賃、食費、光熱費、社会保険料、娯楽費まで含めた試算だという。
28万円。
その数字を見て、私は少し考えた。
わが家は家族3人で暮らしているが、普段の生活費は30万円以内に収まることが多い。
特別な出費があっても40万円ほどだ。

「一人暮らしで28万円も必要なの?」

そう思う人もいるかもしれない。
でも、決定的に違うものがひとつある。

若者の生活費を押し上げるもの


それは住居費だ。
この28万円には、名古屋市内で一人暮らしをした場合の家賃も含まれている。
都市部なら家賃だけで6万〜7万円、場所によってはそれ以上になる。
若い人が「生活が苦しい」と感じる理由の大きな部分は、この住居費なのだろう。
では、私はどうなのか。
今は家賃を払っていない。
そのことについて、以前、職場の同僚にこう言われたことがある。

「泰子さんは家賃がないからいいですよね。」

悪気はなかったのだと思う。
私は笑って受け流した。
言い返せなかったのではない。
言っても伝わらない気がしたからだ。

家賃がないのではなく、なくなるまで払った


私は中古マンションを購入し、25年の住宅ローンを組んだ。
でも、返済は10年で終わらせた。
毎月の返済に加え、繰り上げ返済を続け、15年分を前倒しした。
そのために、我慢したこともたくさんある。
ブランドバッグは見ないようにした。
外食もできるだけ控えた。
見栄のためのお金は使わないと決めていた。
でも、子どもとの思い出まで削ったわけではない。
家族でキャンプへ出かけ、夜には絵本を読んだ。
お金をかけなくても、豊かな時間は作れる。
私はそう信じていた。
贅沢をしないことと、人生を楽しめないことは、まったく別の話なのだ。


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当時は住宅ローンが4%を超える時代でした。
25年ローンを10年で完済するまでの経緯を別記事で書いてます。
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25年ローンを10年で完済した話

「臨時収入」は未来に回した


当時は住宅ローンの金利補助があり、年末には住宅ローン控除で税金も戻ってきた。
中には旅行や買い物に使う人もいただろう。
でも私は、そのお金をほとんど繰り上げ返済用に貯めた。
棚からぼた餅のように入ったお金を、その場で使わず未来のために回す。
棚からぼた餅を、次の棚を作るために使う。
それだけのことだ。
でもその「それだけのこと」を続けられるかどうかが、10年後20年後に決定的な差になる。たったそれだけのことだ。
でも、その「それだけ」を続けられるかどうかが、10年後、20年後の暮らしを大きく変えるのだと思う。

完済の日は、とても静かだった


ローンを完済した日、誰かがお祝いしてくれたわけではない。
銀行から書類が届き、「終わったんだな」と思っただけだった。
派手な達成感はなかった。
ただ、肩にのしかかっていた義務が静かに終わった。
25年かけて返すはずだったローンを10年で返した。
その積み重ねが、今の暮らしにつながっている。
もちろん、持ち家も無料ではない。
管理費、修繕積立金、固定資産税を合わせると、今でも月に4万円ほどかかる。

一方で、賃貸には賃貸の良さもある。
住み替えの自由があり、大きな修繕を自分で抱えなくて済む。
どちらが正解という話ではない。
私は「今は少し不自由でも、将来を楽にする」という選択をしただけだ。

何に使い、何を残すのか


だから私は、「家賃がないからいいですよね」という言葉には少し違和感がある。
正確には、
「家賃がなくなるまで頑張ったから、今がある。」
ということだからだ。
もちろん、若い人たちに「我慢ばかりしなさい」と言いたいわけではない。
若い時期にしかできない経験がある。
体力があり、失敗してもやり直せる時期は人生で一度しかない。
旅行でも、挑戦でも、学びでも、自分を育てることにお金を使うのは決して無駄ではない。
大切なのは、「使うこと」ではなく、「何に使うか」を考えることだ。
そして、その先にどんな暮らしを目指すのかという設計図を持つことだと思う。
28万円をどう稼ぎ、どう使い、何を残していくのか。
その積み重ねは、10年後、20年後の人生になって返ってくる。
お金は後から増やせるかもしれない。
でも、過ぎた時間だけは戻ってこない。

私があの日、同僚に言えなかったことを、今日はここに書いておく。
今の暮らしは、偶然手に入ったものではない。
少しずつ積み重ねてきた選択の結果なのだ。
だから今日も私は、「何に使い、何を残すか」を考えながら暮らしている。

※本記事は個人の資産運用・住まいに関する経験と考えを綴ったものであり、特定の不動産取引や投資判断を推奨するものではありません。マンションの資産価値や住み替えの判断は個々の状況により大きく異なりますので、実際の意思決定にあたっては専門家にご相談ください。

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